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生産緑地の2022年問題・都市農地貸借法の活用・成田市第一号

生産緑地の2022年問題とは、一般的に生産緑地の所有者が市町村に対して買取り申し出をした場合、市町村は生産緑地法第11条により買い取らなければならないとされておりますが、現状としては自治体の財政状況が厳しいため、ほとんど買い取られておりません。したがって、大量の土地が市場に放出されるため安い値段でしか土地が売れないのでは?と懸念されているのが生産緑地の2022年問題。

そもそも、買取り申し出をする生産緑地の所有者は、本格的に農作物を生産し出荷している方ではなく、売ることを前提に業者と交渉しておりますから、納税猶予や固定資産税の優遇がなくなることの障害は余りないのかもしれません。
成田市や富里市などをみる限り、来年から土地が突然下落するとは考えがたく、生産緑地エリアの住宅供給不足は依然として続いており、業者が群がっているのが現状です。焦る必要はなく、むしろ業者が売らせるための口実で使っている可能性もあるためご注意頂いた方がよろしいかと思います。

さて、売ることを前提とした買取り申し出以外に、農業をされている方は特定生産緑地の指定を受けることで農業を継続することが出来ますが、現在潜在的問題となっているのは、会社勤めをしているため本格的に農作物を生産し出荷することが難しいものの、税制優遇の観点から農地として維持する程度に耕作されている方になります。生産緑地は農地としての活用以外に災害避難場所であったり緑の保全の観点からも見直されており、周辺が宅地化され自然が減少していくことを憂慮されている方の気持ちを汲むことも大切なことと考えます。
生産緑地は他人に貸せないという問題があり、また、農地も農地法の関係から有償の場合、賃貸借をやめるのが困難なケースがあり、農業経営をしていない地主にとって農地が足枷となっているのが現状です。

そこで生産緑地に関しては、賃貸が出来るように都市農地貸借法(都市農地の貸借の円滑化に関する法律)が制定されました。これは、一般農地と異なり、契約更新時には必ず契約を終了させ土地を返還してもらうことが出来る制度で、とても画期的なものです。相続税の納税猶予と固定資産税は農地課税も継続されます。
弊所においても、地主の方から生産緑地は売りたくないが、維持が大変という話を聞いておりました。生産緑地を有償で貸しても契約更新時に戻って来ることを知らない方が結構おり、今回の成田市への申請に際しても市役所の方は誰も知らず手間取りましたが、成田市で都市農地貸借法の活用として第一号となりました。農業委員会の方も初めてのケースということでかなり慎重でしたが、今後はスムーズに進んでいくものと思われます。

関与先にはいくつか農業法人がありますが、農業従事を希望する若い方がかなりいることにビックリしております。また、富里市に関しては農業の事業承継がスムーズに進む傾向にあります。
弊所では農地を借りたり購入して営農している農業法人がございますので、生産緑地を貸したい方や一般農地の売却を検討されている方は、ご連絡頂ければ対応させて頂きます。