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平成30年度税制改正大綱

与党による平成30年度税制改正大綱が14日に発表されました。中小企業や個人において、特に注目すべき改正項目を列挙しておきます。

1 個人所得課税
(1)給与所得控除の見直し
 ① 控除額を一律10万円引き下げる。
 ② 給与等の収入金額が850万円を超える場合の控除額は、195万円。
(2)公的年金等控除の見直し
 ① 控除額を一律10万円引き下げる。
 ② 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額は、195万5千円
(3)基礎控除の見直し
 ① 合計所得金額が2,400万円以下の場合、控除額は48万円。
 ② 合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下の場合、32万円。
 ③ 合計所得金額が2,450万円超2,500万円以下の場合、16万円。
 ④ 合計所得金額が2,500万円超はゼロ円
(4)所得控除に係る合計所得金額要件の見直し
 (3)の改正により、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、勤労学生控除の合計所得金額要件を見直す。
(5)青色申告特別控除
 ① 正規の簿記の原則に従って記録している者の青色申告特別控除額を55万円(現在65万円)に引き下げる。
 ② ①に要件のほか、e-TAXによる申告書を提出している等一定の要件を満たしている場合には、控除額は65万円。
(6)家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例
 (5)の改正により、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現在65万円)に引き下げる。

2 資産課税
(1)事業承継税制の特例の創設等
 非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度の創設
 後継者が、経営者から贈与・相続・遺贈により非上場株式を取得するなど一定の要件に該当する場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、後継者の死亡の日等まで納税猶予する。
(2)一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
 特定の一般社団法人等の理事が死亡した場合には、その一般社団法人等の純資産額のうち一定の金額を、死亡した理事から遺贈により取得したものとみなして、その一般社団法人に対し相続税を課することとする。
(3)土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設

3 法人課税
(1)中小企業における所得拡大促進税制の改組(所得税も同様)
 一定の方法により計算した賃上げ割合が1.5%以上であるときには、給与支給増加額の15%の税額控除ができることとする。
(2)収益の認識基準について
 従来から法人税法22条と通達による運用がなされておりましたが、今回の改正により法令上明確化する(IFRS関連)。

4 消費課税
(1)農林水産業の簡易課税制度について
 消費税の軽減税率が適用される食用の農林水産物を生産する事業は第2種事業とし、みなし仕入率を80%(現在70%)とする。
(2)たばこ税率の引上げ、加熱式たばこの課税方式の見直し

5 国際課税
(1)恒久的施設関連規定の見直し
 ① PE定義の見直しを行う。
 ② 租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備。
(2)外国子会社合算税制等の見直し

6 その他
(1)森林環境税の創設
 市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、平成36年度から年額1,000円を課する。
(2)国際観光旅客税の創設
 船舶や航空機により海外へ出国する一定の者については、出国1回につき1,000円を課する。